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小説感想

小説を読み始めて10年、年間で150冊以上、累計1500冊以上の小説を読んできた私の個人的な感想です。順番に意味はありません。(思いついた順に更新してます)

小説を読んでこなかった方も、小説が大好きなあなたも参考にしてもらえたら幸いです、ですが比較的ミーハーなのであしからず。

ワイルド・ソウル (垣根涼介)

90点/100点中

あらすじ

その地に着いた時から、地獄が始まった――。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは、政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す! 歴史の闇を暴く傑作小説。
――本書より引用

感想

今まで読んだすべての小説の中でNo.1の作品です、ブラジルに日系人が多い理由をこの小説を読んで知りました、日本政府のいい加減な政策によって悲惨な末路を送ることになった主人公の復讐劇、しかしながらそのやり方はどこか清々しく、主人公のカッコよさとヒロインの恋愛模様も見どころの一つ、読み終わった時に訪れる爽快感は他の作品をよせつけません。読んでいない方は是非一読を。

 

容疑者Xの献身(東野圭吾)※直木賞受賞作

75点/100点中

あらすじ

花岡靖子は娘・美里とアパートに2人で暮らしていた。そのアパートへ靖子の元夫である富樫慎二が彼女の居所を突き止め訪ねてきた。どこに引っ越しても疫病神のように現れ、暴力を振るう富樫を靖子と美里は大喧嘩の末、殺してしまう。今後の成り行きを想像し呆然とする母子に救いの手を差し伸べたのは、隣人の天才数学者・石神だった。彼は自らの論理的思考によって二人に指示を出す。

そして3月11日、旧江戸川で死体が発見される。警察は遺体を富樫と断定し、花岡母子のアリバイを聞いて目をつけるが、捜査が進むにつれ、あと一歩といったところでことごとくズレが生じる。困り果てた草薙刑事は、友人の天才物理学者・湯川に相談を持ちかける。

すると、驚いたことに石神と湯川は大学時代の友人だった。湯川は当初傍観を通していたが、やがて石神が犯行に絡んでいることを知り、独自に解明に乗り出していく。

感想

言わずと知れた東野圭吾さんのガリレオシリーズ、小説にハマったきっかけをくれた東野圭吾さんはストーリーの面白さはもちろん、描写の上手さが秀逸で文字を追っているだけで情景が頭の中に飛び込んできます。想像力が掻き立てられてページがどんどん進む数々の名作のうちの一作です。

三体  (劉慈欣)

80点/100点中

あらすじ

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。
失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。
そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。

感想

海外の作家さんは基本的に読まないのですが、あまりにも有名な作品となったので読んでみたらその重厚な設定と斬新なアイデアに驚かされました、ざっくり言えば宇宙人が侵略してくる、地球ピンチって話です。が、なんと宇宙人もかなり遠くにいるもんだから来るのに何百年もかかってしまう、その間に知恵を絞って対抗手段を整える。なっかなかこない宇宙人達はいつになったら到着するのか、全5巻で読み応えも抜群、そして最後の結末。本当に面白いです。

3日間の幸福(三秋 縋)

70点/100点中

あらすじ

どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。

感想

どんなに長生きするよりも、愛する人と過ごす3日間がどれだけの幸福をもたらすか、何も良いことがなかった主人公がミヤギの為に人生を使い、彼女もまた主人公の為に自らを…。

涙腺崩壊必須の一作です。

かがみの孤城(辻村 深月)

88点/100点中

あらすじ

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこには“こころ”を含め、似た境遇の7人が集められていた。 なぜこの7人が、なぜこの場所に―― すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語

感想

ファンタジーは苦手ですがこの話は引き込まれました、基本的に主人公の一人視点で物語が進んでいきます、視点変更が好きな私にはマイナス評価なのですが、この手の作品にありがちな主人公の内面を無駄に描いたどろどろした一人称ではなくて、テンポと展開が上手く進む作品です、序盤の伏線も綺麗に回収していて読んだ後に心底良かったと思える本でした。

青くて 痛くて 脆い(住野よる)

20点/100点中

あらすじ

人付き合いが得意でない大学生の田端楓。 そんな彼が大学1年の春に、子どものような理想を口にするため周囲から浮いている存在であった秋好寿乃と出会う。 ひとりぼっち同士の2人は、「世界を変える」という情熱と理想をたずさえて秘密結社「モアイ」をつくった。

感想

読んでいてイライラする主人公、それが作者の狙いなのでしょうが結局ただの危ない主人公のまま物語が終焉して読んだことを心底後悔しました、一人称にありがちな内面重視の展開でヒロインの女の子が『気持ち悪っ』と主人公にいった場面が唯一スッキリしたシーンでした、君の膵臓を食べたいが非常に面白かっただけに残念です、いや刺さる人には刺さるのでしょうが。

変身(東野圭吾)

80点/100点中

あらすじ

成瀬純一は脳の一部に致命的な損傷を受けたが、世界初の成人脳移植手術が行われ、命を救われる。 順調に回復する純一だが、手術以前とは自分の性格、趣味嗜好が変わっていくことに苦しむ。 原因を探ろうとドナーの正体を突き止めるが、自分の意識が変わっていくのを止めることが出来ない。

感想

東野圭吾さんといえば様々な技法を駆使して小説を執筆しますが、今回は珍しいタイプの一人称、他の人物の内面は日記やノートといった形で表現している所が面白い、テーマも内容も落ちがなんとなくよめているのですが、ある意味で期待に沿ったラストを用意してくれるのも東野作品の良いところだと思います。